「先生、儲かりませんね」

今日、70代の女性が初めてサロンに来られた。
これまで、さまざまな健康器具や健康に関する製品を試してきたという。もちろん病院にも通っている。
話を聞いていくと、身体のことだけでなく、日々の過ごし方が少し見えてきた。
専業主婦で、自由に使える時間は比較的多い。
時間があると、ついスマートフォンで身体や健康について調べ続けてしまう。調べれば調べるほど新しい情報が現れ、また別のことが心配になる。
最近生まれたお孫さんのことも、気になって仕方がないという。
身体のために何かをすることより、まずは「心配が一日を占領しない仕組み」をつくる方が先ではないか。
私はそう考えた。
そこで、簡単なスケジュールをつくってみてはどうかと提案した。
読書、掃除、洗濯、料理、散歩。
特別なことでなくてよい。
30分、あるいは1時間を一つの単位にして、その時間にすることをあらかじめ決めておく。
予定ですべてを埋めることが目的ではない。
何となくスマートフォンを開き、身体のことを調べ続け、まだ起きてもいないことを心配する時間を減らすためである。
自分の注意が身体の内側ばかりに向いていると、小さな違和感まで大きく感じられることがある。
意識を外へ向ける時間も必要なのだと思う。
話をしている途中、その女性が突然こう言った。
「先生のオーラが、すごくよく見えます」
青い色のように見えるという。
「普段は全然見えないんです。本当に久しぶりです」
以前にも、私を見て「オーラが見える」と言った方が何人かいた。
特に目黒のサロンでは、「まぶしいほど強く見える」と言われたこともある。
ただ、私自身にはオーラが見えない。
そのため、本当に見えているのかを確かめることもできない。それが良いことなのか、何を意味するのかも分からない。
「私のエネルギーが強いからでしょうかね」
そのときは、そう返しておいた。
初回の1時間のうち、半分以上は施術ではなく、日常生活について話していた。
一日の過ごし方。
緊張が続いたときの呼吸。
スマートフォンとの距離。
そして、自分以外の誰かや、外の世界へ意識を向けること。
施術が終わったあと、ボランティアや地域の活動に参加してみるのもよいのではないかと提案した。
趣味の集まりでもよい。
ロータリーやライオンズのような奉仕活動でもよい。
気の合う人たちと出会い、誰かのために時間を使いながら、自分も楽しめる場所を見つける。
その方の場合、さらに新しい健康法を探すより、そちらへ時間とお金を使う方が、生活全体に良い変化が起きるように思えた。
すると、その女性が笑って言った。
「先生、儲かりませんね」
続けて、こう尋ねられた。
「それでは、私はもう、ここに来なくてもいいのでしょうか」
私は、まずは今日話したことを試してみてくださいと答えた。
次の予約を入れることより、外へ出て、人と会い、自分以外のことに時間を使う方が、今は大切に思えたからだ。
「先生、儲かりませんね」
確かに、そうかもしれない。



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