「女性が背中に乗っている感じがした」フレンチシェフの話
- Admin
- 5月23日
- 読了時間: 3分

今日、久しぶりにお越しいただいた常連のお客様との会話の中で、ふと思い出した方がいる。
「あの西麻布のフレンチシェフの方は、お元気ですか?」
そう聞いてみると、
「ものすごく元気です。」
と返事が返ってきた。
それを聞いて、とても嬉しくなった。
その方は結局、一度しかサロンには来られなかった。
しかし、今でも強く印象に残っている。
最初に目黒のサロンのドアを開けた瞬間から、妙な違和感があった。
よく集中してみると、女性が背中におぶさっているような感覚がある。
しかも、両手でその方の首にしがみついているような感じだった。
もちろん、初対面のお客様にそんなことを言うわけにはいかない。
だから黙っていた。
ただ、事前に主訴として「首のむち打ち」と聞いていたので、自分でも、
「その情報に引っ張られて、そう感じただけかもしれない」
とは思っていた。
施術が始まり、いつものように身体全体を整えていく。
すると、驚くほどあっさりと首の痛みが消えた。
しかも、ほとんど首には触れていない。
不思議そうな顔をしたそのお客様が、
「原因は何だったんですか?」
と聞いてきた。
最初は曖昧に答えていたのだが、かなり真剣に聞かれたので、正直にこう答えた。
「気のせいかもしれませんが、女性が背中に乗っている感じがしたので、それを外しました。」
普通なら、かなり怪しい返答だったと思う。
しかし、そのお客様は驚くどころか、
「……思い当たる節があります。」
とおっしゃった。
聞けば、最近フランスへ旅行に行っていたらしい。
ただし観光ではない。
亡くなった師匠の一周忌のお墓参りだった。
「フランスに行った」とは事前に聞いていた。
しかし、まさかお墓参りとは思わなかった。
さらに、その墓地で奇妙な女性を見かけたという。
その女性は、ただひたすら弧を描くように歩き続けていたらしい。
生きている人だったのか。
あるいは、そうではなかったのか。
それすら分からない。
こちらとしては、痛みが改善し、その後も再発していないとのことなので、本当に良かったと思っている。
特にシェフという仕事柄、下を向けないのは致命的だった。
聞けば、痛みが出始めたのは、フランスから帰国する飛行機の中だったという。
その方が、
「だからおかしいと思ったんですよ。首の右側が痛くなったり、左側が痛くなったりしていたので。」
と話していたのが、今でも印象に残っている。
わざわざフランスまで行き、しかもお墓参りに行き、さらにそこで何かを“拾って”帰ってくる。
ただものではない。
もしかすると、これが「呼ばれる」ということなのかもしれない。
今日ふと思い出したので、忘れないうちに書き残しておこうと思った。



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