一人で温泉に行く時間
- Admin
- 7月3日
- 読了時間: 3分

よく、近所の日帰り温泉に行く。
車で十分ほどの距離にある。
源泉かけ流しの温泉で、気が向くと、ふらっと一人で行く。
もちろん、毎日家のお風呂にも入る。
ただ、家のお風呂に入っている時は、やはりどこかで家の気配がある。
妻がいる。
お義父さんがいる。
一緒に暮らしている人たちの存在が、どこかにある。
それはそれで、悪いものではない。
けれど、完全に一人になる時間とは、少し違う。
⸻
近所の温泉に行く時は、いつも一人だ。
車に乗って、十分ほど走る。
受付をして、服を脱いで、湯船に入る。
それだけのことなのに、身体の中の何かが少しほどける。
温泉に浸かっている間は、スマホもない。
仕事もない。
家族もいない。
誰かに連絡を返す必要もない。
何かを考えなければいけないわけでもない。
ただ一人で、湯に浸かっている。
ぼーっとしている。
それだけの時間だ。
⸻
でも、案外そういう時間を持っていない人は多いのではないかと思う。
常に何かに追われている。
仕事に追われる。
家族に追われる。
予定に追われる。
スマホに追われる。
誰かの期待に追われる。
そうしているうちに、一人で何もしない時間がなくなっていく。
一人でいる時間はあっても、頭の中はずっと忙しい。
身体は座っていても、心はどこかへ走っている。
⸻
そうなると、実際に流れている時間と、自分の身体の中に流れている時間が、少しずつずれていく。
外側の時間は速い。
予定は次々に来る。
連絡も来る。
やることもある。
けれど、身体の時間は本来もう少し遅い。
呼吸の時間。
消化の時間。
眠りの時間。
回復の時間。
その身体の時間を無視していると、どこかで不調が出てくる。
多くの人の身体を見ていて、そう感じることがある。
⸻
別に、温泉でなくてもいいのだと思う。
銭湯でもいい。
近所のカフェでもいい。
公園のベンチでもいい。
一人で散歩する時間でもいい。
大事なのは、誰かのためでも、何かのためでもない時間を持つことだと思う。
何もしない。
返事もしない。
役割もない。
ただ、自分の身体の中に戻ってくる。
そういう時間が、今の生活には思っている以上に必要なのかもしれない。
⸻
温泉に入っていると、忙しかった時間の流れが少し遅くなる。
呼吸も遅くなる。
頭の中も静かになる。
何かを解決したわけではない。
何か大きな気づきがあるわけでもない。
ただ、身体が少し戻ってくる。
自分自身を、少し取り戻す。
健康というのは、案外そういうところから始まるのではないかと思う。
特別なことではなく。
少し一人になること。
少し湯に浸かること。
少し、何もしないこと。
それだけで、身体は思っているよりもほっとする。
だから私は、今日もまた、ふらっと温泉に行くのだと思う。



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