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七十カ国を旅して、日本を旅したくなった

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 7月25日
  • 読了時間: 4分

今日は、山形からお客様がお見えになった。


三年ほど前、仙台で開催した研修会に参加してくださった方である。


その方と話していると、以前、妻と山形に泊まった時のことを思い出した。


仙台での研修に合わせて東北を訪れた際、妻と二人で山形にも足を延ばし、一泊した。


食事が美味しかった。

温泉もよかった。


一泊だけだったが、山形にはよい思い出が残っている。


お客様とも、しばらく昔話に花が咲いた。



一通り施術を終えると、その方にも変化を感じていただけたようだった。


帰り際に、

「頑張ります」

と言われた。


私は思わず、

「頑張らないでください」

と答えた。


そして、

「適当でいいですよ。世界の人たちは、もっと適当ですから」

と付け加えた。



多くの日本人は、すでに十分頑張っている。


それでも、もっと頑張ろうとする。


身体が疲れている。

呼吸が浅くなっている。

どこかに痛みが出ている。


それでも、

「これから頑張ります」

と言う。


その頑張りによって身体を壊してきた人に、さらに頑張ることを勧めることはできない。

むしろ、少し力を抜く必要がある。



私は以前、メキシコで暮らしたことがある。


ラテンの国々を旅していると、日本人とはまったく違う時間の流れを感じることがあった。

時間にも、予定にも、かなり大らかである。


日本の基準で見れば、適当に見えることも多い。


時には、

「もう少し頑張ってほしい」

と思うこともあった。


けれど、日本人の多くには、反対の言葉が必要なのだと思う。


もう十分頑張っている。

少しくらい適当でもいい。



世界七十カ国以上を旅してきた。

以前は、海外へ行き、知らないものを見ることに大きな喜びを感じていた。


知らない街を歩く。

聞いたことのない言葉を聞く。

食べたことのないものを食べる。


その土地の人と話す。


いろいろな国でタンゴを踊り、世界中に友人もできた。


行ってみたいと思っていた場所には、ほとんど行くことができた。



けれど最近、旅に求めるものが少し変わってきた。

遠くへ行くことそのものに、それほど価値を感じなくなった。


それよりも、日本の土地をゆっくり訪れたいと思うようになった。


その土地のものを食べる。

源泉かけ流しの温泉に入る。

部屋へ戻り、何もせずに休む。


今の私にとっては、それがかなり贅沢な時間である。



そして現在、一番優先したいものは仕事なのだと思う。


少し変な話だが、施術をしている時や、研修で人に教えている時が一番楽しい。


余暇よりも、仕事をしている時間の方が充実していることがある。


身体を見ながら、その人に何が起きているのかを考える。


研修生の質問を聞き、一緒に答えを探す。


その時間には、まだ知らないものと出会う感覚がある。


以前、海外旅行に感じていたものと、少し似ているのかもしれない。



もう一つの大きな喜びは、タンゴである。


体幹を使い、音楽を聴き、相手と一曲を踊る。


身体をフルに使って踊っている時は、余計なことを考えない。


施術をすること。

教えること。

タンゴを踊ること。


今の自分にとっては、その三つが大切な時間になっている。



もちろん、年齢を重ねれば、また趣味も優先順位も変わるだろう。


今好きなものに、いつまでも同じように関心を持ち続けるとは限らない。

それもまた、楽しみの一つだと思う。


これからは、仕事を続けながら、日本の各地を旅したい。


その土地のものを食べ、温泉に入り、また施術や研修へ戻る。


遠くへ行き尽くしたあと、行きたい場所が少し近くなった。


七十カ国を旅して、ようやく日本を旅したくなった。



 
 
 

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