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家にも、気配がある

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 5月8日
  • 読了時間: 2分

更新日:5月8日

数年前、名古屋から50代くらいの男性がサロンに来られたことがあった。

特別な症状だったか、どんな経緯で予約されたのかは、正直あまり覚えていない。

ただ、その方の頭に触れた瞬間、私はなぜか自然にこう言っていた。


……素晴らしいお家にお住まいですね。


特に深い意味があって言ったわけではない。

見えたとか、感じたとか、そういう大げさな話でもない。

ただ、本当に自然に、その言葉が出てきた。


すると、その男性の目から、ふっと涙がこぼれた。


そして静かに、

「長男が作ってくれた家なんです。」

そう答えられた。


話を聞くと、その家は築50年以上。

古くなっていた家を、数年前にリフォームしたらしい。


しかも、

長男は大工。

次男は水道屋。

息子さんたちが中心になって、その家を作り直したのだという。

私はその話を聞きながら、妙に納得した。


ああ、だからか、と。

もちろん、家は物質だ。

木材や鉄や壁紙や配管でできている。


でも、人はたぶん、それだけでは暮らしていない。

どんな気持ちで作られたか。

どんな会話がそこにあったか。


どんな人が、その場所で時間を過ごしてきたか。

そういうものは、やはり空間に残るのだと思う。


私はこれまで3,000人以上の身体を見てきた。

その中で強く感じるようになったことがある。


それは、

身体は、その人が長く過ごしている「場所」の影響を強く受ける、

ということだ。

もちろん、すべてを家や土地のせいにするつもりはない。

そんな単純な話ではない。


ただ、

なぜか落ち着く家。

なぜか呼吸が深くなる場所。

逆に、

家に帰るとまた苦しくなる人。

部屋に入るだけで重くなる人。


そういう違いは、確かに存在している。

空間には、その場所を作った人の意識や時間が、静かに染み込んでいくのかもしれない。


だから私は最近、

「どんな家に住むか」

以上に、

どんな気持ちで、その場所を作ったか

の方が大切なのではないかと思っている。

名古屋のその男性の家は、

最新の豪邸ではなかった。


でも、

息子たちが父親のために手を動かして作った家だった。

だから、あんなにも柔らかい空気が流れていたのかもしれない。


身体を整えるということは、

もしかすると、

戻る場所」を整えることでもあるのだと思う。

 
 
 

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