火事の翌日から、腕が上がらなくなった人
- Admin
- 7月5日
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去年、ロサンゼルスでワークショップを開いた。
8月と10月。
二度、ロサンゼルスに行った。
8月に行った時は、ワークショップだけでなく施術会も行った。
アメリカ人だけでなく、いろいろな国の方が来てくださった。
その中で、一人とても印象に残っている方がいる。
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症状でいえば、五十肩だった。
左腕が上がらない。
それだけ聞くと、よくある肩の不調のように思える。
けれど、その方の話を聞いて、少し考え込んでしまった。
その方は、ロサンゼルスの大火災を経験されていた。
家そのものは燃えなかった。
けれど、水が出なくなり、しばらく住まいを離れなければならなくなったという。
生活の場所を、一時的に失う。
自分の家にいられなくなる。
それだけでも、身体には相当な負担だったのだと思う。
そして、その大火災の翌日から、左腕がまったく上がらなくなった。
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身体は不思議だ。
火事と肩。
避難と五十肩。
一見すると、つながりがないように見える。
けれど、身体を見ている
と、そう簡単に切り分けられないことがある。
左側には心臓がある。
もちろん、医学的にそれが直接の原因だと言いたいわけではない。
ただ、強いショックを受けた時、身体のどこかが固まることはある。
胸が固まる。
呼吸が止まる。
肩が守りに入る。
腕が動かなくなる。
そういうことは、実際に起こる。
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最初に来られた時、その方の左腕は本当に上がらなかった。
慎重に身体の反応を見ながら、少しずつ進めていった。
すぐに大きく変わったわけではない。
かなり時間がかかった。
一時間ほどかけて、ようやく腕がかなり上がるようになった。
その時のことは、今でもよく覚えている。
身体が何かを思い出すように、少しずつ動きが戻っていった。
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10月にまたロサンゼルスへ行った時、その方がもう一度来てくださった。
二回目は、最初よりずっと早かった。
15分か20分ほどで、かなり腕が上がるようになった。
もちろん、完全に元通りというわけではなかった。
けれど、ご本人はとても満足されたようだった。
最後に、
“Thank you.”
と笑って帰っていかれた。
その表情を見て、こちらも少し安心した。
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身体は、出来事を覚えている。
頭では整理できていないことも、身体は別の形で受け取っている。
恐怖。
驚き。
不安。
住む場所を一時的に失うこと。
自分の生活が急に揺らぐこと。
それらは、言葉になる前に身体へ入る。
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その人が何を経験してきたのか。
どんな場所にいたのか。
何に驚き、何を守ろうとしたのか。
身体は、そういうものも含めて反応している。
火事と五十肩。
遠く離れているように見える二つのものが、身体の中ではつながっていることがある。



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