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火事の翌日から、腕が上がらなくなった人

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 7月5日
  • 読了時間: 3分

去年、ロサンゼルスでワークショップを開いた。


8月と10月。


二度、ロサンゼルスに行った。

8月に行った時は、ワークショップだけでなく施術会も行った。


アメリカ人だけでなく、いろいろな国の方が来てくださった。

その中で、一人とても印象に残っている方がいる。



症状でいえば、五十肩だった。

左腕が上がらない。


それだけ聞くと、よくある肩の不調のように思える。

けれど、その方の話を聞いて、少し考え込んでしまった。


その方は、ロサンゼルスの大火災を経験されていた。


家そのものは燃えなかった。


けれど、水が出なくなり、しばらく住まいを離れなければならなくなったという。


生活の場所を、一時的に失う。

自分の家にいられなくなる。


それだけでも、身体には相当な負担だったのだと思う。

そして、その大火災の翌日から、左腕がまったく上がらなくなった。



身体は不思議だ。


火事と肩。

避難と五十肩。


一見すると、つながりがないように見える。


けれど、身体を見ている

と、そう簡単に切り分けられないことがある。

左側には心臓がある。

もちろん、医学的にそれが直接の原因だと言いたいわけではない。

ただ、強いショックを受けた時、身体のどこかが固まることはある。


胸が固まる。

呼吸が止まる。


肩が守りに入る。

腕が動かなくなる。


そういうことは、実際に起こる。


最初に来られた時、その方の左腕は本当に上がらなかった。

慎重に身体の反応を見ながら、少しずつ進めていった。


すぐに大きく変わったわけではない。

かなり時間がかかった。


一時間ほどかけて、ようやく腕がかなり上がるようになった。

その時のことは、今でもよく覚えている。


身体が何かを思い出すように、少しずつ動きが戻っていった。



10月にまたロサンゼルスへ行った時、その方がもう一度来てくださった。


二回目は、最初よりずっと早かった。


15分か20分ほどで、かなり腕が上がるようになった。

もちろん、完全に元通りというわけではなかった。


けれど、ご本人はとても満足されたようだった。


最後に、

“Thank you.”

と笑って帰っていかれた。


その表情を見て、こちらも少し安心した。



身体は、出来事を覚えている。


頭では整理できていないことも、身体は別の形で受け取っている。


恐怖。

驚き。

不安。


住む場所を一時的に失うこと。

自分の生活が急に揺らぐこと。


それらは、言葉になる前に身体へ入る。



その人が何を経験してきたのか。

どんな場所にいたのか。


何に驚き、何を守ろうとしたのか。

身体は、そういうものも含めて反応している。


火事と五十肩。


遠く離れているように見える二つのものが、身体の中ではつながっていることがある。

 
 
 

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