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10億円の物件が売れるらしい

9月8日
読了時間: 3分



妻は、とある不動産会社に勤めている。


今日、東京へ向かう車の中で、最近の不動産事情についての話になった。


以前は高額な物件もよく売れていたが、最近はあまり動かなくなったという。


中国から海外へ資金を移す仕組みが変わったらしく、それまで高額物件を購入していた中国人の多くが、市場から姿を消してしまったそうだ。


その影響を強く受けているのが、3億円から5億円ほどの物件である。


以前は売れていたその価格帯が、今はほとんど動かないという。


一方で、現在も活況なのは、10億円を超える物件らしい。


3億円の物件は売れず、10億円の物件が売れる。


よく分からない世界である。



妻の勤めている会社では、最近になって、ようやく5億円ほどの物件を取り扱い始めた。


ところが、その頃にはすでに、その価格帯の市場は停滞していた。


かといって、10億円を超える物件を簡単に取り扱えるわけでもない。


正直、10億円の物件がどのようなものなのか、私には想像もつかない。


それほどのお金を払ってまで手に入れたいと思う不動産が、本当にあるのだろうかとすら思ってしまう。


それでも、今の高級不動産市場で最も動いているのは、その10億円を超える価格帯だという。


多くの不動産会社も、そこを目指さなければ生き残れないことは分かっているらしい。


しかし、その規模の物件を扱うには、相応の資本力や人脈が必要になる。


結局、参入できるのは超大手か、その市場に特化した少数精鋭のエリート集団に限られる。


妻の勤める会社は、200人から300人ほどを抱える、ごく普通の中小企業である。



巨大な企業と、少数精鋭の集団。


その二極化は、これからさらに進んでいくのだろう。


その一方で、私のように一人で仕事をする人間や、小さな規模で起業する人は増えていく気がする。


以前は、一人ではできなかったことが多かった。


誰かを雇い、組織をつくらなければ、会社として仕事を進めることができなかった。


しかし、AIがあれば、相談し、調べ、整理し、ある程度の仕事を任せることができる。


数十人、数百人を抱えなければできなかったことを、一人、あるいは数人でできるようになる。


そうなると、中途半端に多くの人を抱えた企業は、少しずつ苦しくなっていくのかもしれない。


ある程度、それは仕方のないことなのだろう。


ただ、一人でできることが増える社会は、悪いことばかりでもない。


自分で考え、決定し、何かをつくる人が増える。


それは経済だけでなく、文化の隆盛にもつながるのかもしれない。



AIは、これまで人類が一緒に仕事をしたことのない、もう一種類の知性である。


多くの人が心配するような、ターミネーター的な終末論もある。


ただ、AIが人類との共存を選ばず、すべてを破壊するような未来は、今の私にはあまり想像できない。


もちろん、実際にどうなるかは分からない。


それでも、人間がAIを使い、AIが人間を使うという関係ではなく、お互いに共存共栄を図る未来のほうが、私は楽しみである。


そんな話をしているうちに、車は東京に着いた。


10億円の物件がどのようなものなのかは、結局分からないままだった。

 
 
 

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