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人が人を治すのは、おこがましい
昨日、久しぶりに一人の研修生がサロンを訪れた。 彼は最近、東京に自分の整体サロンを開いた。 まだ開業したばかりである。 少しずつお客様は来ているものの、集客には苦労しているという。 「やっぱり、集客は難しいですよね」 彼がそう言った。 「そうだね」 私は答えた。 腕がよければ、自然とお客様が集まる。 残念ながら、それほど単純な世界ではない。 ⸻ そもそも、整体サロンの数は多い。 駅の周辺を少し歩くだけでも、整体、整骨、鍼灸、マッサージなど、身体を扱う店がいくつも見つかる。 整骨院では、症状によって健康保険が適用される場合もある。 一方、私たちのような整体は、原則として自費である。 お客様から見れば、その違いもわかりにくい。 数あるサロンの中から一つを選び、保険の利かない施術にお金を払う。 初めて訪れる方にとっては、それだけでも大きな決断なのだと思う。 ⸻ 私は彼に、カラダナオルの経営について話した。 ほかのサロンへ半年、一年と通っても変化を感じられなかった方が来ることがある。 私は、できる限り一回の施術で結果を出したいと思っている。...
Admin
7 時間前読了時間: 5分


It's fucking hard
今日は、山の日という祝日である。 多くの人にとっては、仕事を休む日なのだろう。 けれど、私には朝から施術の予約が入っていた。 いつも通り、朝八時に起きた。 ストレッチをする。 身体を整える。 タンパク質を多めに取った朝食を食べる。 支度を済ませ、仕事へ向かう準備をしていた。 私にとっては、普段とそれほど変わらない朝だった。 ⸻ そこへ、台湾に住む友人のココロちゃんからメッセージが届いた。 「生まれた」 その言葉と一緒に、生まれたばかりの赤ちゃんの写真が送られてきた。 とてもかわいらしい赤ちゃんだった。 写真を見ただけでは男の子か女の子かわからなかったので、聞いてみた。 男の子だという。 ⸻ 先日、ココロちゃんのInstagramで「妊娠38週目」という投稿を偶然見つけた。 久しぶりに連絡をすると、出産は翌日だという返事が届いた。 その時、彼女は、 「生まれたら写真を送るね」 と軽やかに言っていた。 けれど、出産という大仕事を終えた直後である。 落ち着いてから送ってくれるのだろうと思っていた。 まさか、本当に生まれたばかりの写真が届くとは思わなかっ
Admin
1 日前読了時間: 4分


“I’m Giving Birth Tomorrow”
Yesterday, I happened to see a post from a Taiwanese friend on Instagram. It said: “38 weeks pregnant.” We had not been in touch for quite some time, so I immediately sent her a message. “I didn’t know you were pregnant. Congratulations.” Then I received an unexpected reply. “I’m giving birth tomorrow.” I never imagined I would contact her the day before she gave birth. ⸻ Her name is Kokoro. We have known each other for many years. Tango was what first brought us together. On
Admin
3 日前読了時間: 3分


家かよ、と思った
今日は朝から、妻が友人と東京へミュージカルを観に出かけた。 つまるところ、今日はお義父さんと私の二人きりである。 ⸻ 実は昨日も、妻は東京で仕事だった。 私は休みだったので、朝から近所の日帰り温泉へ行った。 仕事をする。 本を読む。 温泉に浸かる。 また少し仕事をする。 結局、妻が帰ってきた夜九時過ぎまで、ほとんど一日をそこで過ごした。 リラックスするためでもあったが、お義父さんと二人きりで家にいることを、なんとなく避けたかったのかもしれない。 ⸻ さすがに、二日続けて朝から温泉へ逃げるわけにもいかない。 今日は、たまっていた洗濯物を片づけ、歩いて近所のスーパーへ買い物に行った。 昼は、そうめんにしようと思った。 ネットで見かけた方法を参考に、鶏もも肉を耐熱袋に入れて湯煎し、蒸し鶏も作ってみた。 そうめんだけではタンパク質が足りないと、AI先生に叱られそうだからである。 ⸻ リビングには、大きなホワイトボードがある。 そこには、お義父さんの予定が書かれている。 今日の欄を見ると、
Admin
4 日前読了時間: 4分


測定結果を説明する人が、驚いていた
先日、目黒のサロンで、カラダナオルの施術前後を測定する機会があった。 使用したのは、「CHI Fractal Bioanalysis」という心拍変動フラクタル解析システムである。 この機器を扱っている方にお持ちいただき、長年お付き合いのある、信頼している50代男性のお客様に被験者をお願いした。 その場にいたのは、被験者として協力してくださった男性、機器を持ってきてくださった男性、そして私の三人だった。 ⸻ CHI Fractal Bioanalysisは、Jibin Chi氏が開発に携わり、スウェーデンを拠点に展開されているシステムである。 日本では、クラスIの一般医療機器として届け出られている。 両手首から約五分間、心拍変動を測定し、独自のフラクタル解析によって、自律神経のバランス、ストレス、生命活力などを数値化するという。 さらに、チャクラ、経絡、脊椎の機能状態、生物学的年齢なども表示される。 ただし、それぞれを直接測定しているわけではない。 基本となる心拍変動のデータを、独自の方法で解析して表示した推
Admin
5 日前読了時間: 5分


去年はトロント、今年は貝掛温泉
8月4日と5日、新潟県の貝掛温泉へ行ってきた。 8月4日は、妻の誕生日である。 誕生日祝いを兼ねた、私たち夫婦の夏休みだった。 ⸻ 昨年の8月4日は、カナダのトロントにいた。 妻が大ファンで、私も引きずられるように好きになった藤井風さんのコンサートを見るためだった。 妻の誕生日に、トロントで藤井風さんを見る。 今振り返っても、かなり特別な一日だった。 そして今年は、新潟の貝掛温泉である。 ずいぶん静かな誕生日になった。 ⸻ 出発前、友人に、 「今日はこれから貝掛温泉へ行きます」 とメッセージを送った。 すると、すぐに返事が来た。 「あ、ちょうど藤井風さんも行ったようですね」 一緒に、Xの投稿が送られてきた。 藤井風さんは、今年のフジロックへ出演した際、貝掛温泉を訪れていたらしい。 なんという偶然だろう。 昨年は、トロントで本人のコンサートを見た。 今年は、本人が少し前に訪れた温泉で誕生日を過ごす。 もちろん、藤井風さん本人に会ったわけではない。 訪れた日も違う。 それでも二年続けて、妻の誕生日が藤井風さんにつながった。 妻は、何か持っているのかも
Admin
6 日前読了時間: 4分


ご両親を連れてきた
昨日、酒々井の別邸に、ご夫婦がお見えになった。 いつも目黒に来てくださっている女性が、ご両親を連れてきてくれたのだ。 お父様は、膝と腰に不調を抱えていた。 お母様は昨年の秋に転倒し、背骨を骨折したと診断されていた。 それ以来、背中が曲がった状態になったという。 ⸻ まず、お父様から身体を見ることにした。 膝の周辺へ触れると、かなり強い反応があった。 強く押したわけではない。 それでも、触れる場所によって身体が敏感に反応した。 膝の周囲だけでなく、腰回りにも強い緊張が感じられた。 そこで、固まっている場所を確認しながら、少しずつ全身のバランスを整えていった。 ⸻ 施術後、もう一度膝の状態を確かめてもらった。 その場では、膝の痛みをほとんど感じなくなったという。 腰の違和感も、ほぼなくなったと話していた。 ただ、お父様の場合は、毎朝起きた時に腰が痛むという。 翌朝どうなるかは、その時点ではわからない。 今後も同じ状態が続くのか、しばらく様子を見る必要がある。 それでも、その場で身体が楽になったことを、ご本人はとても喜んでくださった。 ⸻ お母様の反応
Admin
8月3日読了時間: 3分


もっと、自分の身体を甘やかしてください
今日、初めてお越しになった女性のお客様がいた。 一番困っているのは、歩くことだった。 股関節の発育不全があり、経年変化とともに痛みが強くなったという。 現在は、歩くこともままならない。 特に、階段を下りることが難しい。 医師からは、手術を勧められている。 ⸻ 以前は、本格的な登山をしていたという。 長い距離を歩く。 急な斜面を登る。 重い荷物を背負う。 長年にわたり、身体を使い続けてきた。 もちろん、現在の状態が登山だけによって起きたとは言えない。 もともとの股関節の問題があり、年齢による変化もある。 その上に、長年のさまざまな負担が重なってきたのかもしれない。 ⸻ 股関節以外にも、いくつか気になる症状を抱えていた。 数年前から頭の重さが続き、来月には別の手術も予定されているという。 原因の判断や治療は、医療機関で行う必要がある。 私にできるのは、目の前の身体に触れ、どこに緊張や偏りがあるのかを見ていくことだ。 ⸻ 施術をしながら、私が感じたことがあった。 この方は、自分の身体に対して少し厳しすぎるのて
Admin
8月1日読了時間: 4分


他人には厳しく、自分には優しく
昨日、8月22日に開催する藤原直哉先生との対談の案内を見て、二名の方が初めてお越しになった。 お二人とも、これまで原因がはっきりしない身体の不調を抱えていた。 ⸻ お一人は女性だった。 一年ほど前、左足首が大きく腫れ、38度の発熱があった。 その時は、偽痛風と診断されたという。 症状は二週間ほどで治まった。 ところが今年五月、今度は全身に蕁麻疹が現れ、顔が普段の一・五倍ほどに腫れた。 この時は病院を受診しなかったが、やはり二週間ほどで治まったという。 そして六月下旬、再び左足首が腫れた。 その一週間後には、右足首も腫れた。 38度の発熱が三週間ほど続き、足首の腫れは現在も完全には引いていない。 痛む場所も、その時によって変わる。 体重をかけることも難しい状態だった。 ⸻ 外に出たのは、一ヶ月ぶりくらいだという。 お越しになった時には、まっすぐ立つことができなかった。 その場で足踏みをすることも難しかった。 症状の経過は複雑である。 私には、これが原因だと診断することはできない。 高熱や腫れを繰り返している以上、医療機関で原因を調べることも必要であ
Admin
7月31日読了時間: 4分


一番の親孝行は、餃子かもしれない
昨日は、朝から母を病院へ連れていく予定だった。 そのため前日は東京に泊まり、朝早めに出発した。 病院へ向かう前に、神奈川にある日帰り温泉へ立ち寄った。 源泉かけ流しの湯にゆっくり浸かり、身体を整えてから母の家へ迎えに行った。 そこから北里大学病院までは、車で十分ほどである。 距離だけを考えれば、とても近い。 母が一人でタクシーに乗ることができれば、病院まで行くこと自体は難しくない。 けれど、病院に着いてからが大変である。 受付をする。 血液検査を受ける。 診察室を探す。 医師の説明を聞く。 会計を済ませ、処方箋を薬局へ持っていく。 今の母に、それをすべて一人でさせるのは現実的ではない。 ⸻ 母と北里大学病院へ通い始めて、もう一年ほどになる。 今回は、脳神経内科の診察だった。 これまでは循環器を中心に診てもらっていたため、私が脳神経内科の先生と直接話すのは初めてだった。 その先生からは、どうにかして原因を見つけようとする意志が感じられた。 ⸻ 母は救急車で病院へ運ばれたことをきっかけに薬を飲み始め、その頃から、立つことに強い不安を感じるようになった
Admin
7月30日読了時間: 5分


痛いところがないのに来た方は、今までいません
昨日、大学生の男性がお見えになった。 アメリカンフットボールで痛めた足を見てほしいとのことだった。 ジャンプをする。 片足に重心を乗せる。 そうした動きをすると、足に痛みが走るという。 今回で二回目だった。 前回から、しばらく間が空いていた。 おそらく、再び足を痛めた時に、私のことを思い出してくれたのだろう。 そのことが、素直に嬉しかった。 ⸻ アメリカンフットボールやラグビー、サッカーなどは、身体への負担が大きい。 走る。 止まる。 方向を変える。 相手とぶつかる。 一瞬のうちに、身体へ強い力が加わる。 特にアメリカンフットボールのような肉弾戦のあるスポーツでは、衝撃に備えるために全身が硬直しやすくなる。 痛みが出ているのは足でも、その原因が足だけにあるとは限らない。 身体のどこかが動かなくなり、別の場所が代わりに負担を引き受けていることもある。 そのため今回は、足だけではなく、全身のバランスを見ることにした。 ⸻ 私自身、以前は十年ほどテニスをしていた。 その間に、ぎっくり腰を三回経験した。 今になって考えると、当時の私は身体の使い方をほとん
Admin
7月28日読了時間: 4分


一日に三回、ガストへ行った
昨日は、一日に三回、ガストで食事をした。 朝。 夕方。 そして夜。 別に、ガストが大好きというわけではない。 ただ、結果的にそうなった。 ⸻ 二、三ヶ月ほど前から、上半身の筋力トレーニングを始めた。 それなりに負荷をかけ、胸や背中の筋肉を増やそうとしている。 それに合わせて、毎食、料理の写真を生成AIに送り、食事の内容を評価してもらうようになった。 カロリー。 タンパク質。 脂質。 炭水化物。 一食ごとに、何が足りないのかを見てもらっている。 ⸻ この二、三ヶ月、食事はほとんど和定食だった。 焼き魚定食。 刺身定食。 海鮮丼。 時には、しゃぶしゃぶ定食。 タンパク質を取りやすく、栄養のバランスも考えやすい。 その点では、和食はとても優秀だと思う。 けれど、さすがに毎日続くと飽きてくる。 また焼き魚。 また刺身。 身体にはよいのだろう。 しかし、心が少し疲れてきた。 ⸻ 一食ごとに多くのタンパク質を取ろうとすると、選択肢も狭くなる。 ラーメン。 チャーハン。 パスタ。 食べたいものがあっても、AI先生に写真を見せる前から、 「タンパク質が足りません
Admin
7月27日読了時間: 5分


学び続けて、自分に戻る
昨日は午前中、山形からお客様がお見えになった。 午後には、ハワイに住んでいる方がお越しになった。 年に一度、日本へ帰国する時期に合わせて来てくださっている。 お二人とも、以前、私の研修を受けてくださった方である。 身体について共通の言葉があるので、自然と話も弾んだ。 ⸻ よく考えてみると、日本全国、さまざまな場所からお客様が来てくださる。 北海道の北見から、毎月のように通ってくださる方もいる。 あまりにも当然のようにお見えになるので、普段はその距離を忘れてしまう。 けれど、北見から東京までは、決して近くない。 飛行機に乗り、時間を使い、毎月来てくださる。 あらためて考えると、本当にありがたいことである。 ⸻ ハワイ。 ロサンゼルス。 ウィーン。 イギリス。 海外から一時帰国する時に、立ち寄ってくださる方もいる。 以前、表参道にあるフランス語学校の校長先生が施術を気に入ってくださり、その学校の生徒さんが次々に来てくださったこともあった。 人が人を紹介する。 一人との出会いから、まだ会ったことのない人との関係が始まる。 これも縁というものなのだろう。
Admin
7月26日読了時間: 4分


七十カ国を旅して、日本を旅したくなった
今日は、山形からお客様がお見えになった。 三年ほど前、仙台で開催した研修会に参加してくださった方である。 その方と話していると、以前、妻と山形に泊まった時のことを思い出した。 仙台での研修に合わせて東北を訪れた際、妻と二人で山形にも足を延ばし、一泊した。 食事が美味しかった。 温泉もよかった。 一泊だけだったが、山形にはよい思い出が残っている。 お客様とも、しばらく昔話に花が咲いた。 ⸻ 一通り施術を終えると、その方にも変化を感じていただけたようだった。 帰り際に、 「頑張ります」 と言われた。 私は思わず、 「頑張らないでください」 と答えた。 そして、 「適当でいいですよ。世界の人たちは、もっと適当ですから」 と付け加えた。 ⸻ 多くの日本人は、すでに十分頑張っている。 それでも、もっと頑張ろうとする。 身体が疲れている。 呼吸が浅くなっている。 どこかに痛みが出ている。 それでも、 「これから頑張ります」 と言う。 その頑張りによって身体を壊してきた人に、さらに頑張ることを勧める
Admin
7月25日読了時間: 4分


準備したものを、捨てる勇気
昨日は、月に一度の継続会だった。 継続会とは、全三回の基礎研修を終えた方が参加できる、月一回の研修会である。 全三回の研修を始めたのは、2020年12月だった。 その後、2021年8月から継続会を始めた。 気がつけば、もう五年近い月日が流れている。 ⸻ 昨日は、呼吸法を扱うつもりだった。 事前にYouTubeの動画を皆さんへ送り、当日はその呼吸法をどのように使うのかを説明する予定だった。 自分なりに準備もしていた。 ところが、研修会を始めてみると、それを行う必要がないことに気づいた。 参加者の皆さんが、私の想像以上に成長していたからだ。 ⸻ その呼吸法は、身体の緊張をほどき、普段とは少し違う静かな意識状態へ入るためのものだった。 けれど、皆さんは呼吸法を使わなくても、自然にその状態へ入っていた。 変性意識へ入るスイッチが、以前よりも自然に働くようになっていた。 それなら、あえて予定していた呼吸法を行う必要はない。 私は、その場でやらないことに決めた。 ⸻ 参加者の一人から、 「先生、呼吸法はやらないので
Admin
7月24日読了時間: 5分


私の耳を育てた先生
先日、ディエゴとアルダナのプライベートレッスンを受けていた時、私の「oído」と「musicalidad」がいいと言われた。 日本語にすれば、耳と音楽性ということになるのだろうか。 音楽性を褒められたことは、これまでにもあった。 けれど、「耳がいい」と言われたのは初めてだった。 ここでいう耳とは、音がよく聞こえるという意味ではない。 リズムや旋律、その変化を捉える耳のことなのだと思う。 なぜ自分の耳がいいと言われたのか。 少し考えた。 ⸻ タンゴを始めたのは、2011年のブエノスアイレスだった。 妻と二人で、ステラ先生というアルゼンチン人女性からプライベートレッスンを受け始めた。 当時、六十代後半くらいだったと思う。 とても熱心な先生だった。 こちらができなくても、絶対に諦めない。 何度でも、根気強く教えてくれた。 初心者だった私に、音楽性について詳しく教えることはなかった。 けれど、リズムにはとても厳しかった。 ⸻ タンゴにはタンゴのリズムがある。 ワルツにはワルツの
Admin
7月23日読了時間: 4分


文句を言いながら、国を愛するアルゼンチン
現在の気温は、37度を超えている。 外へ出ることさえ、ためらう暑さだ。 私はお客様に運動を勧めることがある。 けれど、今日のような日に外を歩くことは勧められない。 できるだけ家の中で、静かに過ごす。 動かないことも、時には身体を守るために必要なのだと思う。 ⸻ いつから、日本の夏はこれほど暑くなったのだろう。 2011年、私はブエノスアイレスで夏を過ごした。 30度を超える日もあったが、湿気が少なく、日本の夏よりもずっと過ごしやすかった。 それでも、アルゼンチンの人たちはよく文句を言っていた。 天気。 政治。 隣人。 頻繁に止まる電気。 なかなかつながらないインターネット。 そして、どうにもならないインフレ。 何に対しても怒り、何に対しても不満を口にしていた。 少なくとも、当時の私にはそう見えた。 ⸻ あまりにもインターネットが止まるので、スペイン語の先生に愚痴を言ったことがある。 すると先生は、真顔で言った。 「アルゼンチンでは、怒らないと何も進まない」 自分の意見を通したければ、怒る。
Admin
7月22日読了時間: 4分


『進撃の巨人』を、妻と見終えた
昨日、妻と二人で『進撃の巨人』を最後まで見終えた。 Netflixで少しずつ見続け、ようやく物語の終わりまでたどり着いた。 見終えたあと、しばらく考えてしまった。 ⸻ 人を殺すことは悪だと言われる。 けれど、戦争になると、殺せば殺すほど、それは戦果と呼ばれる。 そして、人から称えられることさえある。 考えてみれば、不思議な話である。 当たり前のように受け入れているが、私たちは、かなり非常識な世界に生きているのかもしれない。 『進撃の巨人』は、その矛盾から目をそらさない作品だった。 ⸻ この作品が扱っているのは、単純な善と悪ではない。 正義と悪の戦いでもない。 自己犠牲を美しく描いただけの物語でもなければ、大量殺戮を戦果として肯定する話でもない。 それぞれの立場に、それぞれの歴史がある。 恐怖がある。 怒りがある。 守りたい人がいる。 自分たちが生き残るために、相手を滅ぼさなければならない。 相手もまた、同じことを考えている。 複雑な価値観と思惑が絡み合い、誰か一人を悪者にするだ
Admin
7月21日読了時間: 4分


釣り堀に行こうと言われるうちに
昨日、私の姪のちいちゃんが遊びに来た。 八歳になる女の子で、お父さんに連れられてやって来た。 本当はその日、私はタンゴ仲間と、ディエゴとアルダナの送別ミロンガへ行く予定だった。 彼らはこれから上海へ行き、その後、ブエノスアイレスへ向かう。 二ヶ月ほど日本を離れるという。 しばらく会えなくなるので、最後に顔を出そうと思っていた。 けれど、その日にちいちゃんが来ることになった。 迷うことはなかった。 家族一択である。 友人には本当に申し訳ないが、送別ミロンガはキャンセルした。 ⸻ 何時に来るのか、よくわからなかった。 仕方がないので妻と家で動画を観ていると、午後四時頃、外からドカドカと足音が聞こえてきた。 到着するなり、ちいちゃんは言った。 「釣り堀に行こう」 午後四時である。 しかも、外は35度近い。 私は釣りにほとんど興味がない。 何とか別の方向へ持っていこうとした。 「鬼ごっこは?」 「かくれんぼは?」 いろいろ提案してみた。 けれど、ちいちゃんは釣り堀の一本槍だった。 調べてみると、午後六時まで営業している。 結局、私と妻、お義父さん、ちいち
Admin
7月20日読了時間: 4分


十年わからなかったことが、一年でわかった
昨日、久しぶりにタンゴの練習をした。 練習というより、タンゴ友達に教えている。 教え始めてから、もう一年になる。 最近、ようやく踊りが形になってきた。 本人も、とても満足そうだった。 ⸻ 身体の使い方には、原理がある。 上下。 左右。 前後。 互いに反対方向へ働く力を使い、身体の中に引っ張り合いをつくる。 そうすることで、手足だけではなく、体幹から動けるようになる。 これはタンゴに限った話ではない。 多くの踊りやスポーツに、共通する身体の使い方だと思う。 けれど、それを言葉で説明する人はあまり多くない。 上手な人は、すでに身体でできている。 自然にできているからこそ、どうやっているのかを説明する必要がないのかもしれない。 ⸻ 私は、自分が長い時間をかけて理解したことを、できる限り言葉にしてきた。 身体のどこを使うのか。 どちらへ力を出すのか。 どこを引き上げ、どこを下げるのか。 なぜ、その動きになるのか。 一つずつ確認しながら、丁寧に伝えてきた。 そして、ようやく一年で形になってきた。 「一年もかかったね」 私がそう言うと、彼女は言った。...
Admin
7月19日読了時間: 3分
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