蒲田のホテルで見えた「血の海」の話
- Admin
- 6 日前
- 読了時間: 3分

これは、数年前にお客様から実際に聞いた話だ。
その方は、北海道から毎月のように東京へ来られていた。
そして、蒲田のホテルを定宿のように使っていたらしい。
私は当時のことを細かく覚えているわけではないのだが、どうやらその日、目黒サロンのドアを開けた瞬間、私はそのお客様に向かってこんなことを言ったらしい。
「……キャバ嬢ですよね?」
当然、その方は驚いた。
もちろん、ご本人はキャバクラで働いているわけでもなければ、前日にそういう場所へ行ったわけでもない。
ただ、なぜかその言葉が自然に口から出てきたらしい。
すると、そのお客様は前日の奇妙な出来事を話し始めた。
ホテルでベッドに入り、しばらくすると、なんとも言えない嫌な感じがしたという。
寝心地が悪いというより、
“空気が気持ち悪い”。
そんな感覚だったらしい。
そこで気になってシーツをめくってみると、
そこには一面に「血の海」が広がっていたという。
慌ててフロントへ電話し、
「部屋を変えてほしい」
と伝えた。
すると、ホテルスタッフはすぐに飛んできて、別の部屋へ案内してくれたらしい。
しかも、不思議だったのは、
理由をまったく聞かなかったこと。
さらに、そのスタッフ自身、その部屋へ絶対に入ろうとしなかったという。
その話を聞いた当時、私は半信半疑だった。
ただ、その出来事から2〜3年後、ふとこんなことを思った。
このホテルのような大手ホテルチェーンが、物理的な「血の跡」を放置するわけがない。
掃除も点検も、当然徹底しているはずだ。
だとしたら、あれは何だったのだろう。
もしかすると、
“見える人には見えて、見えない人には見えない”
そういう種類のものだったのかもしれない。
そして、おそらくホテル側も、定期的に似たような報告を受けていたのだろう。
だから理由も聞かず、すぐに部屋を変えた。
そして、できれば関わりたくない。
そんな空気があったのかもしれない。
もちろん、これは証明できる話ではない。
私は何かを断定したいわけではない。
ただ、人が長く出入りする場所には、独特の“気配”のようなものが残ることがある。
それは病院でも、学校でも、ホテルでも同じだ。
特にホテルというのは、
さまざまな感情を抱えた人が短期間に出入りする場所である。
疲れた人。
怒っている人。
泣いている人。
孤独な人。
楽しい旅行中の人。
人生が変わる瞬間にいる人。
そういうものが、空間にまったく影響を残さないとは、私は思えない。
そんなこともあり、私は軽い気持ちでこう言った。
「じゃあ、ホテル全体を綺麗にしておきましょうか。」
そして遠隔で、そのホテル全体を調整してみた。
後日、そのお客様から面白い報告が来た。
「あれ以来、ホテルの雰囲気が全然違うんです。」
「前よりずっと居心地が良くなった気がする。」
とのことだった。
もちろん、私はその後まだそのホテルへ行っていないので、本当のところはわからない。
ただ、もし少しでも空気が軽くなっていたのなら、それはそれで良かったのだと思う。
ちなみに最後は、
「たぶんキャバ嬢が刺されでもしたのでしょうか……」
ということで、話はなんとなく落ち着いている。
人間というのは不思議だ。
そして、
人が集まる空間もまた、
時々、人間以上に多くを語っているのかもしれない。



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