家にも、気配がある
- Admin
- 6 日前
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更新日:5 日前

数年前、名古屋から50代くらいの男性がサロンに来られたことがあった。
特別な症状だったか、どんな経緯で予約されたのかは、正直あまり覚えていない。
ただ、その方の頭に触れた瞬間、私はなぜか自然にこう言っていた。
「……素晴らしいお家にお住まいですね。」
特に深い意味があって言ったわけではない。
見えたとか、感じたとか、そういう大げさな話でもない。
ただ、本当に自然に、その言葉が出てきた。
すると、その男性の目から、ふっと涙がこぼれた。
そして静かに、
「長男が作ってくれた家なんです。」
そう答えられた。
話を聞くと、その家は築50年以上。
古くなっていた家を、数年前にリフォームしたらしい。
しかも、
長男は大工。
次男は水道屋。
息子さんたちが中心になって、その家を作り直したのだという。
私はその話を聞きながら、妙に納得した。
ああ、だからか、と。
もちろん、家は物質だ。
木材や鉄や壁紙や配管でできている。
でも、人はたぶん、それだけでは暮らしていない。
どんな気持ちで作られたか。
どんな会話がそこにあったか。
どんな人が、その場所で時間を過ごしてきたか。
そういうものは、やはり空間に残るのだと思う。
私はこれまで3,000人以上の身体を見てきた。
その中で強く感じるようになったことがある。
それは、
身体は、その人が長く過ごしている「場所」の影響を強く受ける、
ということだ。
もちろん、すべてを家や土地のせいにするつもりはない。
そんな単純な話ではない。
ただ、
なぜか落ち着く家。
なぜか呼吸が深くなる場所。
逆に、
家に帰るとまた苦しくなる人。
部屋に入るだけで重くなる人。
そういう違いは、確かに存在している。
空間には、その場所を作った人の意識や時間が、静かに染み込んでいくのかもしれない。
だから私は最近、
「どんな家に住むか」
以上に、
「どんな気持ちで、その場所を作ったか」
の方が大切なのではないかと思っている。
名古屋のその男性の家は、
最新の豪邸ではなかった。
でも、
息子たちが父親のために手を動かして作った家だった。
だから、あんなにも柔らかい空気が流れていたのかもしれない。
身体を整えるということは、
もしかすると、
「戻る場所」を整えることでもあるのだと思う。



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