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しめ縄を買う日

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 7月9日
  • 読了時間: 3分

今週の土曜日、神奈川で家族の集まりがある。

母の満79歳の誕生日を祝う予定だ。


妻と一緒にその集まりに参加し、そのまま車で神戸へ向かう。

神戸では施術会がある。


せっかくなので、数日滞在して、神戸を少し観光するつもりでいる。

車で街を走ったり、海を見たり、知らない場所を歩いたり。


そういう時間も、久しぶりに取れそうだ。


本当は、もう少し長く旅をする予定だった。


四泊五日くらいで、帰りに伊豆あたりの老舗旅館にも泊まろうとしていた。

少しゆっくりして帰るつもりだった。


ところが、すっかり忘れていたことがあった。


7月15日。

宮薙の日である。


うちの神社の風習では、この日から新しい一年が始まる。

そして、私たちが氏子になる日でもある。


人生の一大イベントが始まる。


そう言っていたわりに、その大事な日を忘れていた。


慌てて老舗旅館をキャンセルし、7月14日の夜には帰るように予定を組み直した。

我ながら、少し危うい。



以前の自分たちなら、どうしていただろうと思う。

せっかく予約した旅館だし。


せっかくの旅行だし。


自分たちの予定を優先していたかもしれない。

けれど今回は、あまり迷わなかった。


お義父さんがいる。

神社の行事がある。

家族として迎える日がある。


自分たちだけの都合では、もう動いていない。

そのことに、少し驚いた。



自分の予定よりも、家族の予定を優先する。


言葉にすると当たり前のようだが、実際にそうするのは案外簡単ではない。

自分たちの楽しみもある。


休みも限られている。

行きたい場所もある。


けれど、それよりも大事な日がある。


お義父さんを含めた家族の流れの中に、自分たちも入っていく。


そういう感覚が、少しずつ生まれているのかもしれない。



そんな中、昨日、お義父さんが食事の時に言った。


「しめ縄を買いたい」


近所のホームセンターへ行って探したらしい。


けれど、見つからなかった。


それで私がネットで調べてみると、楽天市場で普通に売っていた。

しめ縄もネットで買える時代になったのかと思った。


便利な時代である。


ただ、お義父さんとしては、本当は自分で見て、自分で買いたかったのだと思う。

それもわかる。


けれど、7月15日まであまり時間がない。


仕方なく、明日届くしめ縄を注文した。


人生で、しめ縄を買う日が来るとは思っていなかった。


しかも楽天で。



人生は、こういうことの繰り返しなのかもしれない。


昨日まで考えていなかったことが、今日の大事な用事になる。


自分には関係ないと思っていたことが、いつの間にか自分の生活の中心に入ってくる。

老舗旅館をキャンセルして、しめ縄を注文する。


少し前の自分なら、想像もしなかった。


でも、今はそれが自然に思える。



昨日と違う今日。

今日と違う明日。


家族になるというのは、たぶん、こういう小さな予定変更の中にもある。


自分たちだけで生きていた時間から、誰かと一緒に生きる時間へ。


しめ縄を買う日が来た。


新しい一年が、もうすぐ始まる。

 
 
 

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