出産は、ちょうど明日なの
更新日:1 日前

昨日、たまたまInstagramで、台湾の友人の投稿を見かけた。
そこには、こう書かれていた。
「妊娠38週」
しばらく連絡を取っていなかったので、すぐにメッセージを送った。
「妊娠していたなんて知らなかった。おめでとう」
すると、思いがけない返事が来た。
「出産は、ちょうど明日なの」
まさか、出産の前日に連絡することになるとは思わなかった。
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彼女の名前は、ココロちゃんという。
もう長い付き合いである。
知り合ったきっかけは、タンゴだった。
彼女との思い出の中でも特に印象に残っているのは、誘われて参加した台北タンゴマラソンである。
私は一人で台北へ行った。
地元に住む彼女には、その期間中に会いたい人が、ほかにもたくさんいたはずだ。
それでも彼女は、その4日間を私と一緒に過ごしてくれた。
毎日、一緒に食事をした。
タンゴを踊り、そのあとも、いろいろな話をした。
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最終日は、鼎泰豊で昼食を食べた。
彼女は、小籠包よりもチャーハンが好きだと言っていた。
食事のあと、二人で午後のミロンガへ行った。
その日の夜8時から、彼女には仕事の会食が入っていた。
それでも、その直前まで一緒にいてくれた。
その日のことは、以前のブログにも書いている。
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当時、彼女は結婚して間もない頃だった。
独身の頃と、結婚してからの違いについて話した。
新婚生活の戸惑い。
誰かと一緒に暮らしをつくっていく難しさ。
仕事のこと。
これからのこと。
4日間のうちに、本当にいろいろな話をした。
タンゴマラソンそのものも、素晴らしかった。
けれど、今振り返っていちばん鮮明に思い出すのは、彼女と過ごした時間である。
彼女がいてくれたから、台北でのあの日々は特別なものになった。
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その後、彼女はご主人と一緒に日本へ来た。
三人で食事をしながら、台北で過ごした日のことを話した。
以前、日本に住んでいたこともあり、彼女は昔から日本が大好きだ。
ただ最近は、ウインタースポーツやシュノーケリング、スキューバダイビングに夢中で、タンゴはあまり踊っていないようだった。
生活の中心も少しずつ変わり、以前ほど頻繁には連絡を取らなくなっていた。
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そして今、彼女は母親になろうとしている。
子育てが始まれば、生活はまた大きく変わるのだろう。
仕事がある。
家庭がある。
しばらくは、以前のように自由に旅をしたり、タンゴのイベントへ参加したりすることも難しくなるかもしれない。
私たちが会う機会も、さらに少なくなるのかもしれない。
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彼女が、台北へ誘ってくれた。
私はその誘いに応じ、一人で台湾へ行った。
私が足を運び、彼女は4日間を共に過ごすことで応えてくれた。
どちらか一方でも、あの一歩を踏み出していなければ、あの時間は生まれなかった。
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あれほど濃い時間を一緒に過ごすことは、もうないのかもしれない。
けれど、先のことはわからない。
10年後。
あるいは、20年後。
子育てが一段落した頃、台湾のどこかで、また一緒にお茶を飲んでいるかもしれない。
仕事や家族のこと、それぞれが歩んできた人生について、また話すのかもしれない。
その時には、人生の見方も、抱えている課題も、台北で過ごした4日間に話していたものとは、すっかり違っているだろう。
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彼女は経営者として仕事を続け、家庭を持ち、今度は母親になる。
私の暮らしも、あの頃からずいぶん変わった。
自分では同じ場所にいるつもりでも、時間は少しずつ、私たちを別の場所へ運んでいく。
そして、何年も離れていた相手からのたった一通のメッセージで、その間の時間がまたつながることもある。
出産の前日に、偶然、彼女のInstagramの投稿を見かけた。
そんなことも、人との縁の不思議さなのかもしれない。



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