15年かけて、ようやく回る

アルゼンチンタンゴには、振り付けで踊るものと、即興で踊るものがある。
私が普段楽しんでいるのは、即興のほうだ。
世界中に、ミロンガと呼ばれるタンゴの集まりがある。
本場のアルゼンチンはもちろん、上海、北京、台北。ロサンジェルス、トロント。スペインのバルセロナやマドリッド、ウィーン。イタリア、クロアチア、フランス、イギリス、ルーマニア、ハンガリー。
私が行ったことのある場所だけでも、ずいぶんある。
一人でふらっと知らない国へ行っても、ミロンガに顔を出せば、一緒に踊る人がいる。
言葉が十分に通じなくても、踊ることはできる。
そうして知り合いができる。
そういう意味では、タンゴはとても便利なものだと思う。
⸻
ただ、私自身が面白いと感じているのは、自分の身体の使い方が少しずつ変わっていくことだ。
レッスンを受け、練習を重ねる。
今までできなかった動きが、あるとき、できるようになる。
タンゴには、ヒーロという回転の動きがある。
私が10年近く習っているディエゴとアルダナは、2025年のタンゴピスタ世界チャンピオン(即興部門)である。
二人のヒーロは、本当に美しい。
私にとっては、世界一である。
あのように回りたいと思い、ずっと練習してきた。
そして先週末、ようやく、目指していた回り方の感覚をつかむことができた。
背骨で回る、という感覚だ。
【動画:その時のアルダナ先生とのレッスン動画】
⸻
もちろん、アルダナと踊るときだけできても、自分でできるようになったとは言い切れない。
先生がうまく合わせてくれているのかもしれないからだ。
そこで、ほかのタンゴ仲間とも踊ってみた。
やはり、回れる。
相手が変わっても、つかんだ感覚はなくならなかった。
どうやら、ある程度は自分のものになったらしい。
タンゴを始めて15年。
ようやくスタート地点に立った。



コメント