「なんかすごい電気ですね」と言ってしまった話
- Admin
- 5月22日
- 読了時間: 3分

この仕事を始めて、まだそれほど経っていなかった頃の話だ。
もう8年ほど前になるだろうか。
まだその頃は、今のようにピンポイントで何かを感じ取ることはそれほど多くなかった。ただ、それでも時々、「何か妙に気になる人」がいることはあった。
その日来られたのは、中年の男性だった。
別に巨漢というわけではない。中肉中背で、これといって特徴的な体型でもない。
しかし、身体に触れた瞬間、妙な“重さ”を感じた。
重い。
ただ体重が重いという意味ではない。
何か、空気そのものが粘つくような、電気のような、目に見えないエネルギーが身体の周囲に充満している感じがした。
そこで思わず、
「お仕事、何をされているんですか?」
と聞いてしまった。
普段、特に初対面のお客様には、仕事のことなどあまり聞かない。
しかし、その時はどうしても気になった。
すると、その男性は、
「工場で働いています」
と答えた。
何の工場かは分からなかったが、私は反射的に、
「なんか……すごい電気ですね」
と言ってしまった。
お客様は少し驚いた様子で、
「えっ?」
となった後、
「ああ……実は製薬工場なんです。薬を作る工程で、巨大な電子レンジみたいな装置を使うんですよ」
と話し始めた。
聞けば、その装置を使う時は、工場全体の電力使用に影響が出るほどの大きな電力を消費するらしい。
その方自身は、装置からかなり離れた場所で作業しているとのことだった。
それでも、自分はかなり強い違和感を感じた。
もちろん、これが科学的にどう説明できるのかは分からない。
ただ昔から、電磁波の影響については様々な議論がある。
しかし現代社会に生きている以上、完全に避けることは不可能だろう。
スマホ。
Wi-Fi。
人工衛星。
Bluetooth。
送電線。
目には見えなくても、様々なエネルギーが空間を飛び交っている。
中には、
「霊すら電気の一種だ」
と語る人もいるくらいだ。
真偽はともかく、人間はまだ“見えていないもの”について、ほとんど理解できていないのかもしれない。
そういうことを考えるようになったのも、ここ数年の環境の変化が大きい。
去年、自分は東京・中目黒から、千葉の田舎へ引っ越した。
すると、不思議なことに身体感覚がかなり楽になった。
毎日のように東京へ行くが、車で酒々井へ戻ると、どこかホッとする。
今では、そこが一番落ち着く場所になった。
9DKの大きな家。
お義父さんが手入れしている庭。
静かな神社。
風の音。
昔は都会の刺激が好きだった。
しかし今は、都会の喧騒を少し“強すぎる”と感じることすらある。
もちろん、この感覚がいつまで続くのかは分からない。
それでも、忙しい都市を少し離れて暮らすことは、現代人にとって案外悪くない選択なのかもしれない。



コメント