top of page
検索

去年はトロント、今年は貝掛温泉

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 8月6日
  • 読了時間: 4分

8月4日と5日、新潟県の貝掛温泉へ行ってきた。

8月4日は、妻の誕生日である。


誕生日祝いを兼ねた、私たち夫婦の夏休みだった。



昨年の8月4日は、カナダのトロントにいた。


妻が大ファンで、私も引きずられるように好きになった藤井風さんのコンサートを見るためだった。


妻の誕生日に、トロントで藤井風さんを見る。


今振り返っても、かなり特別な一日だった。


そして今年は、新潟の貝掛温泉である。


ずいぶん静かな誕生日になった。



出発前、友人に、


「今日はこれから貝掛温泉へ行きます」


とメッセージを送った。


すると、すぐに返事が来た。


「あ、ちょうど藤井風さんも行ったようですね」


一緒に、Xの投稿が送られてきた。



藤井風さんは、今年のフジロックへ出演した際、貝掛温泉を訪れていたらしい。


なんという偶然だろう。

昨年は、トロントで本人のコンサートを見た。


今年は、本人が少し前に訪れた温泉で誕生日を過ごす。

もちろん、藤井風さん本人に会ったわけではない。



訪れた日も違う。

それでも二年続けて、妻の誕生日が藤井風さんにつながった。

妻は、何か持っているのかもしれない。



貝掛温泉は、苗場に近い山の中にある。


隠れ家のような一軒宿だった。

標高は約700メートル。


真夏でも東京や千葉とは空気が違い、外に出ても涼しく感じられた。


チェックインは午後2時からだった。


一般的な宿よりも一時間早い。


私たちは時間に余裕を持って千葉を出発し、午後2時ちょうどに到着した。


ところが、宿へ入ってみると、私たちが最後の客だった。


ほかの宿泊客は、すでに全員到着していたという。


皆、それほど早くこの温泉に入りたかったのだろう。


その気持ちは、湯に浸かってみるとよくわかった。



貝掛温泉の源泉は、37度ほどのぬる湯である。


熱い湯に短時間入るのではなく、身体に近い温度の湯へ長く浸かる。

最初は少しぬるく感じる。


けれど、しばらく入っていると、その温度がちょうどよくなる。


何も考えず、ただ湯の中にいる。

身体の力が、少しずつ抜けていく。

時間の感覚まで曖昧になっていく。


まさに至福の時間だった。

夫婦でこれまで、いろいろな温泉宿を訪れてきた。


それでも、


「また泊まりたい」


と思える宿は、それほど多くない。


貝掛温泉は、その数少ない一軒になった。



貝掛温泉というのは、温泉の名前である。


では、宿の名前は何というのだろう。

ふと疑問に思って調べてみた。


宿の名前も、やはり貝掛温泉だった。


湯と宿が、分かれていない。


そのことが、なんとなくこの場所らしいと思った。



宿にあった資料を読みながら、貝掛温泉の歴史をたどった。

文献に登場するのは、室町時代の1488年まで遡るという。


その後、長く湯治場として親しまれてきたが、昭和初期の大洪水によって一度廃業した。

それを復興させたのが、先代のご主人だった。


眼底出血を患ったことをきっかけに、目の温泉として知られていた故郷の貝掛を思い出したという。


そして紙問屋の仕事を続けながら、この温泉を復興させた。


自分の病をきっかけに、失われかけていた故郷の温泉へ戻る。


ご先祖様に呼び戻されたようにも見える。


ある種の宿命だったのかもしれない。


とても気合の入った温泉宿だった。



翌日は、越後湯沢の周辺を観光した。

写真を撮りたくなるような場所にも立ち寄った。


その後、ニューオータニへ行った。


誕生日なので、妻はショートケーキを食べた。

私は、マンゴーかき氷を食べた。


涼しい山の空気。

ぬるい温泉。

ショートケーキとマンゴーかき氷。


「夏の新潟もいいね」


夫婦で、そんな話をした。


そして、

「また来よう」

と決めた。



昨年は、トロント。

今年は、貝掛温泉。


まったく違う場所なのに、どちらも藤井風さんにつながっていた。


来年の8月4日は、どこで何につながるのだろう。


それも少し楽しみである。

 
 
 

コメント


​© 2026 KaradaNaoru

bottom of page