top of page
検索

痛みが消えたことと、治ったことは違う

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 7月17日
  • 読了時間: 4分

「タンゴで、膝の痛みが消えた」という記事を書いてから、十日以上が経った。

あの時、左膝の痛みが消えたのは事実だった。



深く曲げても痛くない。

翌日になっても、痛みは戻らなかった。


こんなこともあるのかと思った。

そして、少し調子に乗った。



記事を書いた翌日の火曜日、友人を誘って、またタンゴを踊りに行った。

膝はもう大丈夫だと思っていた。


踊っている途中で、腰に少し違和感があった。

けれど、その時はあまり気にしなかった。


膝も痛くない。

身体も動く。

そのまま、かなり踊った。


というより、また踊りすぎた。



翌朝、背中の下の方が固まっていた。


いわゆる腰のあたりである。

動かすと、かなり痛い。

特に、右側の背中の下部がガチガチになっていた。


自分の感覚では、腰そのものを痛めたというより、筋肉を使いすぎたのだと思った。


左膝をかばい、左足に重心を乗せることを、身体が無意識に避けていたのかもしれない。


その分、右足ばかりを使う。

右側で身体を支える。

右側で床を押す。


そうして右腰の周辺に、必要以上の負担が集まったのではないかと思う。



仕方がないので、自分なりに考えてきた方法で、少しずつ身体を伸ばした。

固まっている場所を無理に押すのではなく、周辺の動きを戻していく。


呼吸を通す。

少しひねる。

また休む。


それを繰り返していると、痛みは少しずつ取れてきた。


可動域も、徐々に戻ってきている。



ただ、今回のことを考えていると、もっと遠い原因があったようにも思う。

二ヶ月ほど前から始めた筋力トレーニングである。


下半身はタンゴで鍛えているので、上半身を鍛えるために生成AIを使ってやり方を調べた。

そこで教えてもらったのが、ネガティブ懸垂とネガティブディップスだった。


ネガティブ懸垂では、身体を引き上げた状態から始める。

そこから五秒ほどかけて、ゆっくり身体を下ろしていく。


ネガティブディップスも同じで、腕を伸ばした状態から、身体をゆっくり下げていく。


勢いで動くのではなく、重力に抵抗しながら動きを制御する。

広背筋や大胸筋を鍛えるには、とても効率のよい方法らしい。


実際、よく効いた。

効きすぎた。


初めて行った翌日は、確実に死んだと思った。


もちろん、生きていた。


けれど、上半身は完全に固まっていた。


強い筋肉痛だけではなく、身体全体に過剰な緊張が残っている感じがした。



それでも二ヶ月ほど続けるうちに、身体も少しずつ慣れてきた。

もう大丈夫だと思っていた。


けれど、今になって振り返ると、上半身や背中には、自分が思っていた以上に緊張が残っていたのかもしれない。


そこへ左膝の痛みが加わった。


左右を自然に使い分けることが難しくなる。


左を避ける。

右へ逃げる。


膝の痛みが消えたので、今度はそのまま踊り続ける。

結果として、別の場所が固まった。


身体の中で、負担が移動していただけだったのかもしれない。



それからしばらく、筋力トレーニングもタンゴも休むことにした。

毎日、少しずつ身体を伸ばしている。


痛みが減ったからといって、すぐに負荷を戻さない。

動けるからといって、すぐに動きすぎない。


今度は少し慎重になった。


遅い。

けれど、ならないよりはいい。



身体というものは、本当に恐ろしいほどよくできている。

ほんの少し重心が変わる。


片方の足を避ける。

一方の筋肉だけを使う。


それだけで、別の場所に大きな影響が出る。

いつも完全に左右均等に動くことはできない。


タンゴでは、片足に重心を乗せることも必要になる。


ただ、一方をかばった状態が続けば、どこかが代わりに働き続けることになる。



私の身体は、身長192センチ、体重85キロほどある。


それなりに大きい。

その身体を片足で支え、音楽に合わせて動かす。


考えてみれば、簡単なことではない。


筋力があればよいわけでもない。

柔らかければよいわけでもない。

力を出すことと、抜くこと。

動くことと、休むこと。


その両方が必要になる。



膝の痛みが消えた時、私は治ったと思った。


けれど、痛みが消えたことと、身体全体が元に戻ったことは、同じではなかった。


身体は、別の場所を使いながら、何とか動いていただけなのかもしれない。


頭では知っていたはずのことを、また自分の身体に教えられた。


 
 
 

コメント


​© 2026 KaradaNaoru

bottom of page