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もっと、自分の身体を甘やかしてください

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 8月1日
  • 読了時間: 4分

今日、初めてお越しになった女性のお客様がいた。


一番困っているのは、歩くことだった。


股関節の発育不全があり、経年変化とともに痛みが強くなったという。


現在は、歩くこともままならない。


特に、階段を下りることが難しい。


医師からは、手術を勧められている。



以前は、本格的な登山をしていたという。


長い距離を歩く。


急な斜面を登る。


重い荷物を背負う。


長年にわたり、身体を使い続けてきた。


もちろん、現在の状態が登山だけによって起きたとは言えない。


もともとの股関節の問題があり、年齢による変化もある。


その上に、長年のさまざまな負担が重なってきたのかもしれない。



股関節以外にも、いくつか気になる症状を抱えていた。


数年前から頭の重さが続き、来月には別の手術も予定されているという。


原因の判断や治療は、医療機関で行う必要がある。


私にできるのは、目の前の身体に触れ、どこに緊張や偏りがあるのかを見ていくことだ。



施術をしながら、私が感じたことがあった。


この方は、自分の身体に対して少し厳しすぎるのではないか。


歩くことが難しい。


階段を下りることもできない。


以前のように、思いどおりに動けない。


その身体に、もどかしさを感じているようにも見えた。


けれど、身体は怠けているわけではない。


これまで長い間、黙って働き続けてきた。


今は少し休ませてほしいと訴えているように、私には感じられた。



私は、その方に伝えた。


「もっと、自分の身体を甘やかしてください」


楽をして生きてください、という意味ではない。


何もしなくてよい、ということでもない。


痛みを我慢してまで動かない。


疲れたら、きちんと休む。


必要な時には、人の助けを借りる。


以前と同じようにできない自分を責めない。


必要な医療を受けながら、身体に十分な時間を与える。


それも、自分を大切にすることだと思う。



自分の身体を大切にする。


言葉にすれば簡単である。


けれど、実際には難しい。


多くの人は、身体が動いている間、そのありがたさをあまり意識しない。


疲れていても働く。


痛くても動く。


もう少し頑張れると思い、身体からの小さな訴えを後回しにする。


そして、いよいよ動けなくなってから、初めて自分の身体を見る。



私も、以前は同じようなことをしてきた。


若い頃は、疲れていても平気だと思っていた。


多少の痛みがあっても、動いていればそのうち治ると思っていた。


けれど、今はそうもいかない。


施術の仕事を続けるため。


十五年続けているタンゴを、これからも踊るため。


そして、できるだけ機嫌よく暮らすため。


日頃から、自分の身体を整えるようにしている。



千葉へ引っ越してよかったことの一つは、源泉かけ流しの日帰り温泉が、車で十分ほどの場所にあることだ。


週に三、四回ほど通うこともある。


何も持たず、何も考えずに湯に浸かる。


固くなった足を、ゆっくり伸ばす。


張っている筋肉を感じる。


今日は、どこが疲れているのか。


どこを休ませた方がよいのか。


湯の中にいると、身体の声が少し聞こえやすくなるような気がする。


私にとって温泉は、単なる娯楽ではない。


自分の身体と向き合うための時間でもある。



身体には、その人が生きてきた時間が現れることがある。


ただし、すべての病気や怪我を、その人の生き方のせいにすることはできない。


避けられない病気もある。


生まれつきの身体の特徴もある。


どれほど気をつけていても、起きてしまうことはある。


だから、身体を悪くした自分を責める必要はない。


必要なのは、これから自分の身体とどう付き合っていくかを考えることなのだと思う。



今日のお客様の身体も、長い間よく働いてきた。


山へ登った。


日々の生活を支えた。


痛みがあっても、何とか動き続けてきた。


今は、その身体へ休息を返す時なのかもしれない。

 
 
 

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