身代わりという不思議な施術── カラダナオル誕生秘話⑧
- Admin
- 6月5日
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あれは、研修会が本格的に始まって、しばらく経った頃のことだった。
いつものように、私が手本を示しながら施術を教えていたとき、
一人の研修生が手を挙げた。
「息子の統合失調症を、どうにかしたいんです。」
そんな相談だった。
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私は割と気軽に、
「じゃあ、身代わりの施術を試してみますか?」
と答えた。
その時に思いついたのか、以前から時々やっていたのか、今となっては定かではない。
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身代わりというのは、本人がその場にいなくても、
親子のような強い繋がりがある場合に、
その繋がりを介して施術をする、という方法だ。
まだ遠隔やZoomで施術をしていなかった時代である。
本人が来られないとき、時折こうした方法を試していた。
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ただ一つ、不思議なことがあった。
なぜか身代わりの施術になると、受ける側の痛みが倍増するのだ。
その理由は、今でもわからない。
深く追究したこともない。
経験上、「そういうものらしい」という程度の認識だった。
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その研修生によると、息子さんは統合失調症を患っていて、
常に100人くらいの声が聞こえているという。
私は素直に、「それは大変だな」と思った。
だから、全力で施術をした。
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研修生は、途中から苦悶の表情を浮かべ始めた。
いつも以上に、痛みが強かったのだと思う。
しばらく我慢していただき、施術を終えた。
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その時、ふと好奇心が湧いた。
「息子さんに、今すぐ連絡できますか?」
できる、という。
100人聞こえていたという声が、どうなったのか。
聞いてみたくなって、その場で電話をかけてもらった。
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すると、驚く返事が返ってきた。
「さっきまで100人くらい聞こえていたけど、今は10人から20人くらいになっている。」
次の研修会でも確認したが、数は減ったままだったという。
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もちろん、これが施術の効果だったのかは、わからない。
偶然かもしれない。
別の要因があったのかもしれない。
調べようもない。
ただ一つの事実として、100人が、10人から20人になった。
それだけである。
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私は昔から、自分の施術の効果には、どこか懐疑的だ。
なぜなら、結果そのものよりも、その結果が本当に再現性のあるものなのかを知りたいからである。
それが私の手によるものなのか、
ただの巡り合わせなのか、
正直なところ、興味はない。
本人が少しでも楽になったのなら、それで十分だ。
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ただ、今でも一つだけ、わからないことがある。
なぜ身代わりの施術は、あれほど強い痛みを引き出すのか。
当時は深く考えなかったが、振り返ると、不思議な現象だったと思う。
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いつか、その仕組みが解けるのかもしれない。
あるいは、最後までわからないままかもしれない。
それでも——あの日のことは、今も私の中に、不思議な記憶として残っている。
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※統合失調症を含む精神疾患には専門的な医療が必要です。本稿は一つの体験の記録であり、治療効果を主張するものではありません。。



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